乳酸菌はなぜ体にいいの? 05.腸は第二の脳?!

乳酸菌はなぜ体にいいの? 05.腸は第二の脳?!

乳酸菌はなぜ体にいいの?
05.腸は第二の脳?!

これまでに「腸内フローラの重要性」と「腸内環境が悪化した場合」をご紹介してきました。
今回は、近年の研究をご紹介しながら「腸と脳と乳酸菌」3つの関係をご紹介したいと思います。

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腸から脳みそへ…!

お腹が痛い

(みなさんも経験があるかもしれませんが…)多くの動物は、ストレスを感じるとお腹が痛くなったり、便意を感じます。 これは、脳が自律神経を介して腸に刺激を伝えるからです。反対に、腸から病原菌が感染するとその情報が脳へと伝わり、「不安感」が増すとの報告もあります。

このように、脳と腸は密接に関係しているわけですが、近年は、病原菌だけでなく腸に住み着いている腸内細菌も脳に影響を及ぼしていることがわかってきました。

乳酸菌がクスリになる日が?

2016年、日本の研究チームによると、腸内の善玉菌が少ない人はうつ病リスクが高いことが明らかになりました。 うつ病患者は健常者に比べて、腸内のビフィズス菌や乳酸菌(ラクトバチルス)が少なかったそうです。
また2017年、アメリカの研究では、マウスのうつ病様症状の改善に乳酸菌(ラクトバチルス)が有効だったことが報告されています。

実験では、マウスに強いストレスを与えると「絶望行動」と呼ばれる症状を示し、さらにフン中の乳酸菌量も大きく減ってしまいました。しかし、その後エサに少量の乳酸菌を混ぜて与えていると次第に症状が回復したそうです。

絶望行動ねずみ

余談ですが…
この「絶望行動」というのがなんとも可哀想で。マウスの尾を固定したり、水の中に入れて強制的に泳がせたりすると、普通は全力で逃げようともがきます。しかし、過度のストレスにさらされたマウスは、逃げようとせず、全てを諦めたかのように一定時間動かなくなるんだそうです。

私たちだって「うつ」と診断されるほどでなくても、気持ちが沈んだり無気力になることはあります。 そんな時、食事を変えるだけで晴れやかな気分になれるとしたら…、素晴らしいですよね。

幸福物質?「セロトニン」

では、「腸から脳へ」いったい体の中で何が起こっているのでしょうか? 実は、メカニズムの研究はまだまだ始まったばかりで、有力な説は複数あるもののハッキリ分かっていないのが現状です。 今回はその中でも、最も注目されている「セロトニン」についてご紹介しましょう。

「セロトニン」は、体のリズム、睡眠、体温調整、痛みの認知、食欲の制御や消化・吸収など、カラダの中で様々な役割を持つ物質です。 特に脳内ではドーパミンやノルアドレナリンなどを調整して精神を安定させる働きがあるため「幸せホルモン」「幸福物質」と呼ばれることがあります。

実は、その90%以上が腸でつくられていることがわかっています。 しかも、腸内細菌が食べたものを分解することで、その分解物(短鎖脂肪酸)がセロトニン分泌細胞を刺激するのです。

腸は第二の脳?!

ただし、(誤解されることが多いのですが)腸で作られたセロトニンが直接脳に運ばれて働くわけではありません。セロトニンは、脳に入る物質を選別している「血液脳関門」というフィルターを通過できないのです。

近年の研究では、分泌されたセロトニンが迷走神経末端のレセプターに結合することで、血流を介すよりも素早く脳に情報を伝えていると考えられています。

脳と腸と乳酸菌。
一昔前までは、まさかお腹の状態が脳に関わるなんて信じられませんでした。 今後どんなことがわかってくるのか、研究の発展がとても楽しみですね。

参考
Possible association of Bifidobacterium and Lactobacillus in the gut microbiota of patients with major depressive disorder. Emiko Aizawa et al. Journal of Affective Disorders(2016)
Microbiota alteration is associated with the development of stress-induced despair behavior. Ioana A. Marin et al. Scientific Reports volume7, Article number: 43859 (2017)
ストレスと腸内フローラ. 須藤信行 腸内細菌学雑誌19:25-29(2005)