日本の伝統的な発酵飲料 甘酒

日本の伝統的な発酵飲料 甘酒

日本の伝統的な発酵飲料 甘酒

甘酒は日本の伝統的な発酵飲料のひとつで、その歴史は1000年以上にも及びます。主に米・米こうじ、酒粕を原料として作られ、栄養価が高いことから「縁起物」として扱われてきました。

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発酵飲料 甘酒

甘酒と季節

甘酒とお正月

まず、お正月に飲む特別なお酒として、お屠蘇(おとそ)があります。お屠蘇は一般の日本酒とは異なり、生薬を配合したものに日本酒やみりんを漬け込んだ薬草酒のことを指します。このお酒はその年の邪気を祓い、一年の無病息災と長寿を願って飲まれるものとして親しまれてきました。

現代の日本では、このお屠蘇の代わりに甘酒を飲む風習が一般的に広まっています。諸説ありますが、古くから米農家が前年の収穫に感謝し、その年の豊作を願って、収穫したお米で作られた甘酒を神様にお供えするというのが始まりだといわれています。このようなことから、甘酒は縁起が良い飲み物として新年の神社などで振る舞われるようになりました。

甘酒とひな祭り

雛飾りと甘酒とひなあられ

「桃の節句」ともいわれる3月3日のひな祭りは、女の子の健やかな成長と幸せを願う行事です。中国で行われていた「上巳(じょうし)」という厄払いの儀式・思想が日本に伝わり、現在ではひな人形や桃の花、ひなあられ、ひし餅などをはじめ、ちらし寿司や蛤のお吸い物、白酒や甘酒でお祝いする行事として親しまれています。

中国で桃は邪気を払い長寿をもたらす力があるといわれ、桃の花びらをお酒に浸した桃花酒が伝統的に飲まれていました。日本ではこの桃花酒がのちに白酒へと変わっていき、子供でも飲めるようにと、アルコールの入っていない甘酒が用意されるようになったといわれています。

甘酒と夏

夏バテ予防に甘酒

冬の飲み物というイメージが強い甘酒ですが、江戸時代から夏バテ予防の栄養ドリンクとして飲まれてきた歴史ある「夏の風物詩」なのです。甘酒には体に良いとされる栄養素が豊富に含まれており、夏バテの体を労り、健康をサポートするといわれています。

現代でも夏におすすめの飲み物として注目を集め、野菜やフルーツ、アイス、お酢など、子供でも飲みやすいようにとアレンジがされています。このように、季節や用途によって楽しみ方を変えられるというのも甘酒の魅力なのではないでしょうか。

甘酒の栄養

発酵食品に欠かせない糀

ブドウ糖

脳の主要な成分である「ブドウ糖」が豊富に含まれています。甘酒の主成分の約20%がブドウ糖となっており、効率よくエネルギーへと分解します。

アミノ酸

甘酒には体内で生成することのできない、9種類の必須アミノ酸がすべて含まれています。これは、タンパク質を合成する成分で、健康を維持するために必要不可欠な栄養素です。

ビタミンB群

ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6などが含まれており、お互いの栄養素が働き合うことで作用しています。ビタミンB1はエネルギーを生み出し、疲れた体に効果的です。ビタミンB2は代謝を促し健康的な体作りをサポートします。ビタミンB6は細胞を活性化させ、うるおいのある生活へ導きます。

オリゴ糖・食物繊維

甘酒には「オリゴ糖」と「食物繊維」も含まれ、これらは善玉菌のエサとなり中から身体をきれいにします。健康的な毎日を送るうえで重要な役割を担っています。