古くから日本人に愛されている「梅干し」には、長い歴史と文化があります。
梅の木は中国の湖北省、四川省の高地が原産地で、日本へは約1500年前に伝わったといわれています。渡来した梅は「烏梅(うばい)」というもので、未熟な梅を釜戸の煙で黒く燻した燻製のことを指します。烏梅は現代でも漢方薬として扱われているほど薬効が高いというのが特徴で、当時は腫れ物の手当てや熱冷ましなどに用いられていたようです。
奈良時代になると、梅は桃や梨、あんず、柿などと同様に「生菓子」に加工して食べられるようになりました。平安時代では、日本最古の医学書「医心方」に梅干しの効用について記載されていることから、この頃にはすでに梅干しとして存在していたことがわかります。
戦国時代に入ると、栄養価の高い梅干しは戦場で摂取されるようになり野戦糧食としても重宝されました。
実際に梅干しが庶民の食べ物として広まったのは江戸時代で、現在の日本と同じように食卓で楽しまれるようになったそうです。